だんだんと暖かくなってきて、春から夏へと季節が変わっていく今日この頃。この前まで朝晩の寒暖差があったり、花粉がたっぷり飛んでいたりで、体調崩してない?健康な体は毎日の食事から!ということで、今月は「食事」に注目。「食べて体をいたわる」をテーマに、夏にオススメの食材や食べ方を紹介する。近年の健康ブームで注目されている「薬膳」や「ハーブ」を、日々の食事に取り入れてみてはいかが?
夏を乗り越える体作りを
「薬膳」から始めよう!
「薬膳」と聞くと、何をイメージするだろうか?
手間がかかりそう、高級食材を使いそう…など、難しそうなイメージがあるかもしれない。薬膳とは中国伝統の「薬食同源」=「薬を飲むことと食べることは同じ」という考え方に基づいた食事療法。つまり「健康は食事から」ということ。食材の持つ効能を知ることで、スーパーに並んでいる食材ですぐにでも始められるのだ。薬膳では食材を陰と陽に分けたり、五行や五味という考え方が基本となる。これらを知ることで、自分に必要な食材が何なのかわかるというから、ぜひ一度調べてみてほしい。
薬膳の世界では、夏に赤い食材を摂ると良いとされている。夏野菜としておなじみのトマトには、強い抗酸化作用、熱を冷ます「清熱」という働き、水分が豊富で潤いを補う働き、胃腸の働きを促すなどがあり、まさに夏バテ予防にぴったりな食材。
中国の産婦人科医だった経験と薬膳の知識を元に、食と健康のアドバイザーとして活躍。2010年半田市内に本格的な中国茶と薬膳料理のレストランをオープン。
取得資格:国際中医薬膳師、高級中国茶茶芸師、中級中国茶評茶師、煎茶道売茶流師範、日本語検定1級
■漂香茶館
半田市有楽町8-27-1 0569-47-6897
https://hyoukouchakan.com/concept/
今日からできる!!カンタンレシピ
「やっぱり薬膳は少しハードルが高そう…」というアナタのために、スーパーの食材ですぐに作れるレシピを、西山さんが教えてくれた。実際に朝食や、子供たちの昼食にササッと作っている料理だという。どちらも夏にオススメの食材「トマト」を使っているぞ。
ヘルシー!トマトのピカタ風
- トマトを厚めに輪切りし、中身をくり抜く。
- 卵・シソ・小麦粉と一緒にトマトの中身を混ぜ合わせて生地にする。
- 熱したフライパンにトマトの外側を並べたら、その中に生地を流し入れてフタをする。
- 両面焼けたら黒ゴマを散らして完成。
トロっとトマトの中華スープ
- 鍋で油とショウガ・ネギを熱したら、乱切りにしたトマトを軽く炒める。
- 中華スープの素と水を入れる。
- 沸騰したら湯がいたハト麦、山芋、キクラゲ、ほうれん草、醤油と片栗粉で下味をつけた豚肉を投入。
- 塩、ごま油、オイスターソースで味付けしたら完成。お好みでレモンと白髪ネギを散らして。そうめんなどにかけて食べてもグッド。
薬膳 トマト火鍋
「漂香茶館」の看板メニュー、「火鍋」を解体して薬膳の具材を見てみよう。
四物湯という漢方と烏骨鶏などを合わせた特製スープに入れる具材は季節や天候によって都度変えているという。
ここでは夏にオススメの食材と、それぞれの効果・効能についてご紹介。
ショウガ
体を温め、陽気を引き出すという。「冬の病は夏に治す」という考え方があり、冷え性や気管支炎などの予防には、この時季からショウガを摂っておくと良いのだとか
ナツメ
胃腸の保護や、血液を作るのを助ける効果があるそう。ほんのり甘い香りでリラックスでき、疲労回復や不眠・不安解消にも期待大。最近はスーパーに並ぶことも
キクラゲ
腎臓の働きを助け、デトックス効果が期待できる。お家で調理するときは、乾燥キクラゲを水と塩、片栗粉で揉んで汚れを取ってから、水で戻すのがオススメ
ハト麦
湿気を除去するといわれている。湿気はむくみや頭痛、吹き出物の原因。島国の日本では湿気を溜めこむ人が多いそうで、毎日でも食べた方が良いのだとか
トマト
赤い色素成分・リコピン(カロテノイドの一種)が豊富。ビタミンC、ビタミンE、カリウム、食物繊維などをバランス良く含む
長芋
薬膳では「上薬(漢方の最高ランク)」とされており、寿命を延ばすともいわれている。整腸作用や、エネルギーを作る働きがあるとも。加熱して食べた方が◎
中国には東洋医学の考え方が根付いていて、体調が悪いなと感じても、すぐに薬は飲みません。まずは食事で、さらには漢方で原因から治すことが基本です。日本の皆さんにオススメしたいのは「薬膳を毎日の食事に取り入れる」こと。そのためには、まず自分の体を知ることが大切です。次に、食材の持つ働きを理解すること。ただし、体に良いからといって、同じものを食べ過ぎても逆効果。また、食べる時季と時間も重要です。
例えば生姜は体を温めてくれますが、実は夏に集中して摂っておくと冬に効果を発揮します。夜は眠るために体を鎮めたいので、できればお昼までに食べるのが良いでしょう。自分の体調と相談しながら、旬の食材を中心にバランスよく、薬膳を始めてみてください。