愛知県半田市にある「JR亀崎駅」。ここは単なるローカル駅ではありません。実は1886年(明治19年)に開業し、現存する駅舎としては日本最古の現役駅舎を誇る、鉄道史において特別な意味を持つ駅なのです。小ぢんまりとした木造駅舎には130年以上の歴史が刻まれており、訪れる人々を静かに出迎えています。
日本最古の現役駅舎
亀崎駅の駅舎は、東海道本線の開通時代に建てられたものを今も使用しています。改修や手直しはされてきましたが、基本的な構造は当時のまま。日本全国の駅舎の中でも、現役としては最古の木造駅舎という大変貴重な存在です。木造の屋根や窓枠、どこか懐かしい雰囲気を残す佇まいは、鉄道ファンだけでなく建築や歴史に興味のある人々にも人気があります。
駅に降り立つと、現代的な駅舎が並ぶ中でひときわ味わい深いその姿が目を引き、まるで時間をさかのぼったかのような感覚を覚えるでしょう。

鉄道と港町の歴史
1886年の開業当時、亀崎は知多半島における港町として栄えていました。漁業や海運でにぎわうこの町に鉄道がやってきたことで、人や物資の流通が格段に便利になり、地域経済は大きく発展しました。港で揚がった魚や工業製品が鉄道で運ばれ、逆に都市からは新しい文化や人が流れ込み、亀崎は活気あふれる町へと成長していったのです。
現在もその歴史を物語る町並みが点在しており、駅舎そのものがまさに歴史の証人といえるでしょう。
亀崎潮干祭と駅の役割
亀崎といえば、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「亀崎潮干祭」が有名です。毎年5月の大潮の時期に行われるこの祭礼は、豪華絢爛な山車を海岸まで曳き下ろす全国的にも珍しいもの。迫力あるその姿を一目見ようと、多くの観光客が訪れます。
亀崎駅は、その玄関口として観光客を迎え入れる役割を果たしており、祭りの時期にはいつも以上ににぎわいます。駅から海岸までは徒歩圏内なので、祭りの日には町全体が華やかな雰囲気に包まれます。

駅の日常風景
亀崎駅は観光地でありながら、普段は地元の人々の生活を支える大切な駅です。朝夕には通学・通勤の利用者でにぎわい、昼間は落ち着いた時間が流れています。
運行されているのは主に普通列車や区間快速列車。さらに、時折貨物列車が通過することもあり、鉄道ファンにとっては思わぬシャッターチャンスに出会える駅でもあります。レトロな木造駅舎を背景に列車を撮影できるスポットとしても人気です。
周辺観光との組み合わせ
亀崎駅を訪れたら、ぜひ周辺の散策も楽しみたいところです。昔ながらの町並みを歩きながら、地元の商店や食堂に立ち寄れば、港町ならではの味わいや人々の温かさに触れられます。新鮮な魚介を使った料理を提供するお店も多く、散策の途中での食事も楽しみのひとつです。
さらに、少し足をのばせば「半田赤レンガ建物」や「ミツカンミュージアム」といった文化施設にもアクセスでき、知多半島観光の拠点としても便利です。


まとめ
JR亀崎駅は、現存する駅舎として日本最古という特別な価値を持ちながら、今もなお人々の生活に密着した駅として愛され続けています。木造駅舎の温もりに触れると、鉄道が地域にどれほどの影響を与えてきたかを自然と感じることができるでしょう。
観光で訪れる人にとっては、歴史を感じる旅の入り口。地元の人々にとっては、日常を支える生活の拠点。そんな二面性を持つ亀崎駅は、派手さはないものの心に残る魅力を持っています。
次に知多半島を訪れる際には、ぜひ「日本最古の現役駅舎・JR亀崎駅」に立ち寄り、130年以上の歴史を静かに刻み続けるその姿を自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

JR亀崎駅
〒475-0029 愛知県半田市亀崎常磐町二丁目31番地
https://railway.jr-central.co.jp/station-guide/tokai/kamezaki/
