こんにちは、知多半島在住の仏教系女子です。
数年前に知多半島にお引越したのですが、歴史の深いお寺が多く、見どころもたくさん…
「知多半島に住んで本当によかったなあ」と、日々しみじみ感じながら暮らしています。
そんな私は隠れ弘法大師空海ファン。
「いつか四国八十八ヶ所を全て巡りたい!」というささやかな夢を抱いています。
そして、知多半島にも“八十八ヶ所”が存在することを知り巡ってみたくなりました。
まずは「八十八ヶ所って何?」という方に向けて、その基本からご紹介したいと思います。
「八十八ヶ所」もとは「四国八十八ヶ所霊場」を指します

八十八ヶ所とは、弘法大師(空海)が修行したとされる徳島・高知・愛媛・香川の四国四県に点在する、八十八の霊場を巡って参拝することを指します。
もともとは険しい山道を含む、僧侶たちの厳しい修行の道でしたが、江戸時代以降は弘法大師への信仰の高まりとともに、庶民の間にも広まり、日本各地から多くの巡拝者が訪れるようになりました。
巡拝者は「お遍路さん」と呼ばれ、病気平癒、家内安全、先祖供養などの願いを込めて巡る方もいれば、自分自身の成長や心の安らぎを求めて歩く方もいます。
八十八の札所すべてを巡り終えることを「結願(けちがん)」といい、修行や祈願を成し終えることを意味します。
すべての札所を巡ることで、大きな功徳が得られると信じられています。多くの方は1番札所から順に巡りますが、必ずしも順番どおりでなくても、一度に巡りきれなくても問題ありません。
何回かに分けて巡拝する方法もあり、ご自身のペースで柔軟に巡っても問題ありません。
「巡拝(巡礼)」と聞くとハードな修行の旅を想像されるかもしれませんが、「好きなタイミングで、できるところから」でもOK!と知るとハードルがグッとさがりますね!

本家と同じ功徳を積める「写し霊場」
民俗学によると、巡拝が庶民の間で広がり始めたのは、江戸時代のこと。
お伊勢参りをはじめとする信仰の旅が盛んになり、弘法大師信仰の高まりとともに四国八十八ヶ所もこの時代に大きなブームを迎えました。

しかし当時は徒歩移動が中心となるため四国まで足を運ぶのは簡単ではありませんでした。
そこで生まれたのが、四国八十八ヶ所を模した「写し霊場(うつしれいじょう)」です。
写し霊場を巡れば本場と同じように「巡拝の功徳(くどく)」を積めるとされます。
地元にいながらにして“お遍路”ができるこの写霊場の存在は、今もなお多くの人々の信仰を支えています。

実はここ知多半島にも、複数の八十八ヶ所の写し霊場が存在します。
大きな規模の霊場は「知多四国八十八ヶ所」と「四国直伝弘法八十八ヶ所」。
興味深いことに両者の札所はほとんど重なっていません。
私調べでは、5箇所が両方の札所として指定されていました。
こちらが四国直伝弘法と知多四国の札所が重なっているお寺です。
両者ともご巡拝なさる方はご参考になさってください!
- 直伝弘法:第22番 / 知多四国:奥の院 乙川 海蔵寺
- 直伝弘法:第38番 / 知多四国:時志観音 時志 影現寺(時志観音)
- 直伝弘法:第53番 / 知多四国:第48番 小野浦 良参寺
- 直伝弘法:第63番 / 知多四国:厄除大師 大谷 曹源寺
- 直伝弘法:第89番 / 知多四国:第40番 豊浜中須 影向寺
しかし、それを抜いても
知多半島だけで、少なくとも170以上のお寺が存在することになります…!
実は愛知県は寺院数が全国1位。
2022年の調査ではお寺が4,533カ寺…
2024年時点での愛知県のコンビニの数は3,605店舗…
コンビニよりもお寺の方が多いだなんて驚きです。
参考:中日スポーツ「寺院数では全国ナンバーワン…なぜ愛知県は神社仏閣が多いのか?同朋大の安藤弥教授に聞いた【企画・NAGOYA発】」
四国直伝弘法八十八ケ所とは?

どちらの知多の八十八ヶ所を巡るか迷いましたが、ご近所のお寺が四国直伝弘法のお寺だったためご縁を感じたこともあり、今回は「四国直伝弘法八十八ヶ所」を巡ることにしました。
公式サイトによりますと、この霊場は、1925年(大正14年)10月7日に弘法大師空海の誕生地である香川県善通寺の貫主であり、空海の子孫でもある佐伯宥粲(さえき ゆうさん)猊下から「四国直伝証」を拝受したことにより開設されたとのことでした。
※貫主(かんす、寺院においての最高位の僧侶をさす言葉)
※猊下(げいか:高僧に対する敬称)
出典:https://jikiden-koubou.jp/toha/
弘法大師が生まれた場所に建てられたお寺「善通寺」
弘法大師・空海がご誕生された地に建てられたお寺の正式名称は「屏風浦五岳山(びょうぶがうらごがくざん)善通寺誕生院」。
現在は四国八十八ヶ所霊場の第75番札所として、多くの巡拝者が全国から訪れる聖地となっています。
2024年の『ゆく年くる年』でも紹介されたことも記憶に新しいですね。
※香川県 善通寺誕生院境内の伽藍
空海さんのお名前は佐伯真魚(さえき まお)というため、佐伯宥粲(さえき ゆうさん)猊下の苗字からご子孫であることがわかります。
つまり、善通寺の貫主から直伝をいただいたという背景は、「四国直伝弘法八十八ヶ所」が非常に由緒正しい写し霊場であることを物語っているのです。
文化の発展と仏教ブームの中生まれた四国直伝弘法
四国直伝弘法ができた年は1925年(大正14年)とされていますが、
実は、大正時代は仏像鑑賞や寺社めぐりが庶民の間にも広まり、
いわば“仏教ブーム”ともいえる時代でした。
この流れの中で、全国各地に写し霊場が整備され、多くの人が巡拝を楽しむようになったといわれています。
さらに、明治後期から大正にかけて鉄道網が地方まで広がったことで、信仰と行楽が合わさった「巡拝の旅」が身近なものになっていったと考えられます。

ちょうど知多半島に鉄道が通ったのも大正時代の初めごろです。
そんな時代背景を思うと、四国直伝弘法の霊場が開かれた当時は、行楽をかねて多くの人が巡拝に訪れていたのかもしれません。
当時のにぎわいを想像すると、なんだか気持ちがふくらみますね。
四国直伝弘法八十八ケ所にはどんなお寺があるの?
四国直伝弘法さんは、愛知県南部・知多半島の10市町にまたがる霊場です。
場所にもよりますが、札所同士の距離は比較的近いため、エリアごとに区切れば効率よく巡ることができます。
一番近いお寺から巡るもよし、行ってみたかった観光地の近くから始めるのもよし。
自分なりのペースで楽しみながら行ってみましょう。
私は少し遠くてなかなかお邪魔できなかったお店をランチ休憩に設定してルートを考えようと思います!

出典:https://shingetusai.com/maps/
名古屋市緑区:六箇所
大府市:五箇所
東浦町:八箇所
半田市:七箇所
武豊町:六箇所
美浜町:十四箇所
南知多町:十四箇所
常滑市:十五箇所
知多市:八箇所
東海市:六箇所
公式サイトの各寺の紹介一覧のページでは、地図や所在地のほか、ご本尊などの情報が掲載されています。
歴史あるお寺も多いので、事前に調べてから参拝すると一層楽しめますね。
https://jikiden-koubou.jp/tera/
気分も高まってきました!
次回は巡拝の準備をしていこうと思います。
持ち物のリストや、参拝の流れや作法など、初めての方にもわかりやすくお伝えできればと思います!
散策に気持ちいい季節。ぜひ私と一緒に知多半島を巡拝さんぽしましょう!

