【知多半島情報誌「Step」特集】
知多半島で楽しむ音楽の時間 オペラはお好き?

音楽とオペラの世界をのぞいてみよう!

音による芸術「音楽」。
中でも「オペラ」は16世紀にイタリア・フィレンツェで生まれた演奏と歌によって表現される劇。CMで流れるあの歌も、運動会で耳にしたあの曲も、実はオペラの曲だったりする。
この夏知多半島で上演される二つのオペラを通して、より深く音楽を楽しんでもらいたいと思う。
どちらも初心者にも分かりやすく、身近に感じられる演目。ストーリーを予習すれば、誰でも簡単に楽しめるのも「オペラ」の魅力の一つ。
さあ、オペラの世界へようこそ!

La Bohème ラ・ボエーム
Giacomo Puccini ジャコモ・プッチーニ
1896年初演 イタリアOpera

オペラってなんだか難しそう…
そんなアナタにこそおすすめしたいのが「ラ・ボエーム」だ。

ラ・ボエーム映画やドラマと同じように初めてオペラを観る人にも共感しやすく楽しめる演目。

「ラ・ボエーム」の内容は若い男女の切ない恋愛ドラマ。付き合ったり別れたりする恋愛模様や、夢に燃える若者たちの友情物語は、時代は違えど現代でも共感できて、理解しやすいストーリーだ。現代のいわゆる「トレンディドラマ」や「月9」のように、わかりやすく楽しむことができる点が「ラ・ボエーム」の魅力の一つだ。また、物語に併せて流れる作曲者プッチーニの歌や音楽の美しさも理屈抜きで楽しめる。

鑑賞ポイント!
オペラは前もってあらすじを知るべし!

イラストで観る ラ・ボエーム

イラストで観る ラ・ボエーム19世紀のフランス。ボヘミアンと呼ばれる若い芸術家たちが成功を夢見て、アパートの屋根裏部屋で貧しいながらも陽気に暮らす。

[主な登場人物]
ミミ
ロドルフォ_詩人
ムゼッタ
マルチェッロ_画家
ショナール_音楽家
コッリーネ_哲学者

1幕 恋に落ちるふたり

クリスマスイブの夜、ロドルフォの住む屋根裏部屋へロウソクの火をもらいに来たミミ。2人は暗闇の中で偶然手がふれあい、恋に落ちる。

2幕 クリスマスイブの夜

賑わう夜のカフェ。ロドルフォは仲間たちにミミを紹介する。楽しく盛り上がる中、友人のマルチェッロと元恋人のムゼッタはよりを戻す。

3幕 貧しさゆえの別れ・・・

時は流れ、雪の降る夜明け。自分が病気であることを知ったミミと、貧しさゆえに治してやれない苦悩を抱えたロドルフォは、別れる決意をする。

4幕 ミミの死

瀕死のミミを助けようと、仲間たちは所持品を質に入れて薬代にしようとする。しかしミミは、ロドルフォの側で息を引き取ってしまう。

イタリアオペラの巨匠 プッチーニ
ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini)1858年~1924年
19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したイタリアオペラの代表的作曲家ジャコモ・プッチーニ。生まれは宗教音楽家の家系。オペラ「アイーダ」に影響を受け、オペラ作曲家に転身。「マノン・レスコー」での成功を機に「ラ・ボエーム」や「トスカ」、「蝶々夫人」など次々と代表作を生み出す。感情表現に優れ、繊細な人物描写と万人に共感される題材選びで人気に。1924年「トゥーランドット」の作曲途中、この世を去った。

いよいよ大詰め!
上演間近の「ラ・ボエーム」の練習を拝見

「名古屋テアトロ管弦楽団/合唱団」が練習する東海市内の練習室に伺った。のっけから情感豊かな音色が響く。団長の上井さんは「オペラは喜怒哀楽を音で表現します。登場人物や場面にそれぞれテーマ曲があって、情景と共に浮かび上がります。生のオーケストラの演奏とそれに負けない歌手の歌唱力の融合が魅力ですね」。

同楽団では舞台セットを設置しないことも特徴の一つ。上の写真の通り、舞台上に演者とオーケストラが上がるため、通常のオペラでは見られないオーケストラを、目でも楽しむことができる贅沢な空間だ。観客に観られるからこそ、演者だけでなくオーケストラを含む全員がストーリーを深くまで理解し、情景を思い浮かべながら練習している。

Orchestra 管弦楽団

プロのオペラ公演では、歌合せが数日しかないことがほとんどだが、同楽団では約1年間という長い期間の中で、台本を理解しながら練習を進め音楽をつくりあげていく。

Chorus 合唱団

合唱団も単なるBGMとしてではなく、一人ひとりが登場人物として歌う。時にはにぎやかな空間を、時には悲しみを歌声で演出する。


愛好家でもプロのソリストと一緒に練習&上演できる、貴重な機会です。
全編イタリア語での上演なので、発音に苦戦中。
アクセントや巻き舌が難しい…

2幕はクリスマスイブの楽しくにぎやかな場面。
子どもたちも登場する、人気の高いシーンです。

雪景色を演奏で表現するところが見どころの一つ。
周りの温度が下がったような気がします!

一人ひとりが 人生のある主役。脇役はありません。

観やすく、参加しやすく!オペラをもっと身近なものに。

「名古屋テアトロ管弦楽団/合唱団」は、主にイタリアオペラの上演を目的とした、アマチュアの管弦楽団と合唱団だ。年に一回、主催公演を行うほか、依頼公演やコンサート公演などに参加している。オペラといえば、自治体やプロの歌手、または合唱団などが主催して、オーケストラは外部に依頼するという形が多い。しかし、名古屋テアトロ管弦楽団/合唱団では、オーケストラと合唱団を同時に設立。これは全国的にも珍しい例だ。団員は音大卒の経験者から全くの初心者まで、年齢も下は20代、上は70代と幅広い。「まずは自分たちが楽しく」をモットーにしており、年齢や経験値は様々ながらも、笑顔の絶えない練習風景が印象的だった。

代表のお二人
代表を務める半田市在住の上井隆志さんと、ソプラノ歌手の上井雅子さん夫妻。「イタリアオペラが好きすぎて、どうしても自分たちで上演したくて団を作った」という。

名古屋テアトロ管弦楽団/合唱団
2015年創設。今注目の若手オペラ指揮者 辻博之マエストロ、主に中部地区で活躍のソリストと共にオペラを上演
「名古屋」と銘打っているが活動拠点は知多半島。管弦楽団/合唱団とも団員を募集中。見学も大歓迎だ。
https://www.teatro-nagoya.com/

information
名古屋テアトロ管弦楽団/合唱団 第5回公演
La Bohème ラ・ボエーム
2023年7月16日(日)
開演14:00(開場13:15)
東海市芸術劇場 大ホール
全席指定 3,500円

指揮・・・・・辻 博之
管弦楽・・・・名古屋テアトロ管弦楽団
合唱・・・・・名古屋テアトロ合唱団
児童合唱・・・東海児童合唱団
金管バンダ・・京都ファインアーツ・ブラス

ミミ・・・・・・・伊藤 晴
ロドルフォ・・・・宮崎 智永
ムゼッタ・・・・・宇多村 仁美
マルチェッロ・・・増原 英也
ショナール・・・・森 寿美
コッリーネ・・・・林 隆史

Step編集室

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