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【インタビュー】東海市
「化粧品のニシマルヤ」から3種複合店「ニシマルヤ」へ

ニシマルヤ
化粧品専門店「化粧品のニシマルヤ」は、さかのぼること約40年前、隣地ショッピングセンター内に、インショップとして新規オープン。
そこから20年後、お客様にもっと広く、ゆったりとした空間で、よりきめ細かいサービスと接遇を提供したいという想いから、至近距離である尾張横須賀駅内に移転。
公共施設内ということから、「自店の繁栄は地域の発展あってこそ」と考えるに至り、メセナ活動(企業による文化芸術発信)を開始。
琴奏者やフルーティストを招いての無料の企画から始まり、ピアノを設えた頃から、音大生などを中心とした演奏会へと変化。
地域貢献のみに留まらず、若手音楽家の人材育成に繋がることと知り、より対象を広範囲としたいと、2023年にコンセプトを変え、店内を仕切るなどをして、大幅にリニューアル。
ここで成り立つコミュニティを、ビジネスでの生産性と連動するため、カフェ併設。
コンビニやマクドナルドなどでも、すでに珈琲(マシーン抽出)が安価提供されていることから、その抽出方法をハンドドリップとする。
地域への想いを、提供するメニュー名として、またパッケージ化した物販品名し、「尾張横須賀珈琲」としてブランド化。
ここから、地域名やブランド名を冠するパッケージが、その自治体や地元企業のブランド力を上げることに及ぶという、新たなプロデュース事業に進出するヒントに。
現在、このフル・オリジナルPB珈琲パッケージ制作を提案する事業にも、鋭意取り組み中。
「化粧品専門=コスメ事業」、「音楽などパフォーマンス空間として提供=ステージ事業」、「テイクアウト可能の喫茶コーナー=カフェ事業」の3業種の共存展開を目指す。

ココジモ：化粧品専門として経営されておりますが、開業のきっかけを教えてください。

学さん：1983年頃、尾張横須賀駅周辺地区の再開発の一環として、ユニー社が初進出した際に、ご縁があり出店させていただきました。
弊社は昭和の高度成長期において、スーパーマーケット経営を手掛けていた関係で、化粧品メーカーと深く関わっていたこともあり、アドバイスを受けながら新規事業として専門店展開することが始まりました。

ココジモ：専門店としての貴社のニシマルヤブランドの強みを教えてください。

学さん：刻々と変化する季節・環境・体調によって影響されるのが「お肌」です。
弊店では、おひとりおひとり、きちんと向き合い、正しい使いかたと適切な使用量をお話ししながら、お客様が希望される「なりたい肌」をめざして、ご予算を伺いながら適切な化粧品をご提案しています。
開業以来「カスタマー＆カウンセリングファースト」を心掛けています。

化粧品のニシマルヤ

ココジモ：化粧品事業としてお悩みはありますか？

学さん：Web の普及により、多岐にわたる購買先や、美容に関する情報が混在・混沌としております。
このことは便利になった半面、化粧品に対する信頼や、品質あるいは「お肌」への適性にリスクを伴います。
ご自身のご判断から肌トラブルに繋がり、結果的に悩まれてご来店されるお客様が散見されます。
弊店では正直に、お肌のメカニズムや季節情報、あるいは化粧品の使用方法や使用量をお話して、肌トラブルのない健やかなお肌をご提案しています。
弊店クレド「基本信条:ニシマルヤの創るキレイは、あなたを朗らかにし、身近な人を明るく照らして、幸せで健やかな地域社会を育みます。」にて、この想いを込めています。

ニシマルヤ信条

ココジモ：化粧品事業の中で、音楽事業にも携わられたとお聞きしておりますが、ご案内いただけますでしょうか。

学さん：元々私自身が音楽鑑賞を趣味としていることもあるかと思いますが、加えて、化粧品専門店への親近感を発信したいという気持ちもあって、20年程前から店内で無料の定期演奏会を企画して参りました。
まずは琴奏者さんに依頼をしての始まりでしたが、ピアノを設置し、回を重ねていくうちに心境の変化もございました。
ご縁を頂いた方々からのアドバイスや、音楽家さんらの努力や直向きさ、あるいは目標を持つ人への敬意など、たくさんの方々と触れ合うごとに、発信・拡散への意欲は強くなっていきました。
MY STAGE は、演奏機会を無料で提供していますから、練習の成果を試しながら、また人前での適度の緊張を楽しみながら、その方その方のライフワークや居場所を見つけて頂きたいです。

2408カフェ　ピアノ

ココジモ：お客様の反応はいかがでしたか？

学さん：受信される側つまり視聴者にも、ワンドリンクという気軽さもあって、生音を体感するにはとてもリーズナブルです。
双方にとっての垣根も低く、互いのひととなりが知れるせいなのでしょうか、コミュニティ化していく速度は予想を越えて高くなってきています。
「音楽ひろば」と称された方がいらっしゃいましたが、本質を捉えた表現として、現況に感謝しています。

ココジモ：それでは、2023年にリニューアルされた企業としての想いを教えてください。

学さん：普遍的要素である音楽を、「ステージ事業」によりコミュニティ化し、「カフェ事業」を存続させることを起点としました。
これらを阻む要素は現実的には存在しませんので、演奏会など企画の回を重ねるごとに、周辺認知度は高くなります。
前述の「自店の繁栄は地域の発展あってこそ」に帰結しますが、尾張横須賀駅地区の賑わいに繋がり、地域が発展していくことに期待がもてます。
実はここからが重要でして、関わる全ての活動が互いに呼応し、地域社会の活性化と文化学術の発展という、オフィシャルなニーズに対して、業務としてかかわれる至福感に満ちています。

ココジモ：新しく参入されましたカフェ事業に関してのこだわりポイントを教えてください。

学さん：まず抽出方法をハンドドリップとして、一杯一杯に心を込め手間暇掛けることを、且つ、オープンキッチンとして、カウンター内床面を高くすることによって、お客様からご覧頂けるデザインを基調といたしました。
因みにショップ名を「LIVE CAFE」としたのは、音楽ライヴの意味からでなく、実際に、直に、目の前で、を込めての命名です。
珈琲豆につきましては、ガス炎でなく備長炭にて焙煎されたものを選んでいます。
遠赤外線効果もあって、豆の中心までしっかりとローストされますので、他では味わえない、珈琲本来の深みと香りが堪能いただけます。
この備長炭は南知多町で焼かれた炭を使用していますから、自ずと地産地消として地元知多半島の活性化に貢献しています。
他のメニューもスタッフと試飲試食し、材料を厳選し、味わいも吟味しながら設定しています。
別売りの菓子類は、主に社会福祉法人製品から選ぶようにしながら、少しでも社会貢献できるよう配慮しています。
駅構内という立地から、テイクアウトにも注力して、スピーディに提供しています。

cafe2408

ココジモ：こちらのカフェ事業には、オリジナルのコーヒーバッグ制作を行われているとお聞きしましたが、こちらの想いも教えてください。

学さん：プライベートブランドとしての商品ではありますが、自店名よりも地域活性・地域貢献を優先としています。
珈琲メニューを「尾張横須賀珈琲」として、ブランド化し商標登録もいたしました。
ご自宅でも簡単にその味を再現できる「珈琲バッグ(ドリップバッグと違い、カップに投入後にお湯を注ぐだけで完成する品=水出しも可能)」を店頭販売しています。

cafe2408オリジナルコーヒーバッグ

ココジモ：今後「ニシマルヤ」が目指す未来はどの様なイメージを想像されておりますでしょうか。

学さん：明治20年(1887)に創業し、140年近くも商わせて頂いた私共ですが、一貫での事業ではありません。
ゆえに、経営に携わった者が折々の時代や環境に応じながら、あるいは消費者ニーズを模索し、一喜一憂・七転八倒を繰り返してきた道のりは、当然のことながら平坦ではなかったように思います。
先人から、社会から、消費者から蔑まれずに、次代に継承することが、私に課せられた使命であり命題です。尾張横須賀駅という公共の場に、商いの拠を置いたからこそ、本心から社会との共生を考えるようになったのは必然と思っています。
今、起こり得る思いもよらない出来事に身構えるのみですが、地域社会との連動に取り組むことがキーワードだと知りましたから、愚直に、真摯に、トレースして参ります。

ニシマルヤ代表佐藤学